移住者目線で感じる3.11 〜福島を大切にしたいからこそ伝えるべきこと
福島に来て、今年の6月で早3年。
昨年4月からは福島の観光に関する仕事をはじめてみて、改めて感じる、福島に特有の問題とその複雑さ。
全国放送では3.11の報道は減っているだろうけど、まだまだ考えなければならない課題が福島にはあると思います。
復興庁調べでは2月7日現在、東日本大震災による避難者の全体数は約5万2000人。
そのうち福島県内外への避難者数は4万1000人余りにもなると言われています。
(内、福島県外への避難者数は約3万2600人)
岩手県や宮城県など、地震と津波の被害を受けた被災地と比べ、段違いに避難者数が多いことが分かります。
なぜこんなにも福島では避難者の帰還が進んでいないのか?
それは紛れもなく、原発事故の影響です。
福島県と他の被災県との違いはここにあります。
テレビで見ることは恐らくないけれど、拓けた農地に中間貯蔵されている大量の除染土や、バリケードで閉ざされた帰還困難区域の街を見る度に、福島に住んで間も無く3年が経つ今も、毎回衝撃を受けます。
本当に急いで避難区域を解除して、生活インフラを整えることが復興に繋がるのでしょうか。
帰還困難区域で働く作業者の方の健康はきちんと管理されているのでしょうか。
福島の安全性・復興のアピールは一番重要なことだと、素人ながら観光業に携わっている者として日々真剣に考え、実践しています。
しかし、同時に目を背けてはならない現実があまり明るみに出ないことに対して、疑問を感じることもあります。
このポジティブな魅力発信と、事実の報道のバランスを取ることはとても難しいことですが、どちらも必要な情報発信だと思います。
まず、福島の魅力を知ってもらう。
その上で、福島の現実を伝え、一人一人が疑問を感じ考えるきっかけを作る。
福島には行きたくない。ではなく、行ってみたいへ。
来て楽しかった!だけではなく、もう一歩その先へ。
福島の自然・人・文化に触れ、ファンを増やすことではじめて、このサイクルが作り出せる。
とてつもなく地道な努力かもしれません。
けれど、これからも福島を大切にしたいからこそ、この魅力と現実の複雑な両面性を人々に説明し、理解してもらった上で、少しでも福島の未来について考えてくれる人を増やすことが重要なのではないでしょうか。
原発が良い・悪いを叫ぶのではなく、日本の将来を描く中で福島の未来をどう創るのか。
その議論を深めていかなければ、原発の将来も見えてこないような気がします。
最後に、原発事故は "東京電力" 福島第一原子力発電所で起きたものであることを、決して忘れてはいけないと思います。
"東京に送る電気のため" に「想定外」の人生を歩まざるを得ない状況になり、放射能の問題に向き合っている方々がたくさん福島にいることを、再認識するべきだと、関東出身者としてひしひしと感じます。
誰もが安心して暮らせる福島を取り戻せますように、祈りを込めて。
2019.3.11